About

プロジェクト概要

情報的健康プロジェクトについてご紹介します

「情報的健康」とは

WHO(世界保健機関)は健康を「身体的・精神的・社会的に良好な状態」と定義しています。 私たちはこれに加え、「情報的に良好な状態」を第4の柱として提唱しています。

「情報的健康」とは、個人が偏りのない多様な情報に接することができ、 自らの意思で情報を選択し、適切に活用できている状態を指します。 食事と同様に、私たちは日々情報を「摂取」しています。 偏った食事が身体の健康を損なうように、偏った情報環境は 私たちの認知や判断に影響を与えます。

身体的健康

Physical

精神的健康

Mental

社会的健康

Social

情報的健康

Informational

「飽食の時代」から「情報爆発の時代」へ

かつて人類は食糧不足に悩まされていましたが、20世紀後半には「飽食の時代」を迎え、 肥満や生活習慣病という新たな課題が生まれました。 現在、情報においても同様の転換点を迎えています。

食の健康情報の健康
時代背景飽食の時代情報爆発の時代
課題肥満・生活習慣病フィルターバブル・エコーチェンバー
対策例栄養表示・食育・健康診断情報表示・リテラシー教育・情報ドック
目指す状態バランスの取れた食生活多様な情報への接触と主体的な選択

アテンション・エコノミーの問題

現代のデジタルプラットフォームは「アテンション・エコノミー」と呼ばれる 経済モデルに基づいて運営されています。 ユーザーの注目を獲得し、広告収入に変換するこのモデルは、 プラットフォームに「より長く、より頻繁に」利用させるインセンティブを与えます。

その結果、感情を刺激するコンテンツや極端な意見が優先的に表示され、 ユーザーは自分の好みや信条に合った情報ばかりに囲まれるようになります。 調査によると、「フィルターバブル」「エコーチェンバー」という言葉を 聞いたことがない人は約7割にのぼり、多くの人がこの問題を認識していません。

フィルターバブル

アルゴリズムが個人の好みに合わせた情報ばかりを表示し、多様な視点に触れる機会が減少。本人は気づかないまま、情報の「泡」に包まれる。

エコーチェンバー

同じ意見を持つ人々の間で情報が反響し合い、意見の極端化が進行。異なる立場との対話が困難になる。

偽・誤情報の拡散

センセーショナルな情報ほど拡散されやすい構造により、正確性よりも注目度が優先される傾向がある。

分断の深化

異なる情報空間に住む人々の間で相互理解が困難になり、社会的な分断が深まる。

情報的健康を実現するためのアプローチ

食の健康が「食育」「栄養表示」「健康診断」によって支えられているように、 情報的健康にも同様の仕組みが必要です。 私たちは以下の4つのアプローチを提案しています。

01

情報教育・リテラシーの向上

cf. 食育

情報の信頼性を見極める力、多様な情報源に接する習慣、アルゴリズムの仕組みへの理解を育む教育。学校教育だけでなく、生涯学習としての取り組みも重要。

02

情報の栄養表示

cf. 栄養成分表示

コンテンツの情報源、作成者、更新日時、関連する異なる視点へのリンクなど、情報の「成分」を可視化する仕組み。ユーザーが情報を評価する手助けとなる。

03

情報ドック(情報接触の健康診断)

cf. 健康診断

自分がどのような情報にどれだけ接しているかを可視化し、偏りがないかチェックできるツール。定期的な「情報の健康診断」を可能にする。

04

デジタルダイエット

cf. 食事管理

情報摂取の量と質を意識的にコントロールする習慣。通知の管理、利用時間の制限、意図的に異なる意見に触れるなど、主体的な情報との付き合い方。

プロジェクトの目的と活動

本プロジェクトは、「健全な言論プラットフォームに向けて」という 共同提言の策定・公開を起点として活動しています。 利用者・事業者・政府それぞれの立場から取り組むべき原則を整理し、 情報的健康の「実装」に向けた具体的な方策を探求しています。

学術研究

情報環境と民主主義の関係、アルゴリズムがユーザーに与える影響など、実証研究を通じてエビデンスを蓄積しています。

提言の策定

利用者の7原則、事業者の7原則、政府の6原則からなる共同提言を策定し、具体的な行動指針を示しています。

啓発活動

シンポジウムやワークショップを通じて、情報的健康の概念と重要性を社会に発信しています。

ツール開発

情報ドック(情報接触の健康診断ツール)など、情報的健康を支援する具体的なツールの開発を進めています。

3つのステークホルダーへの提言

情報的健康の実現には、利用者・事業者・政府の三者がそれぞれの役割を果たす必要があります。 私たちの共同提言では、各ステークホルダーに向けた具体的な原則を示しています。

利用者の7原則
  • -自分の情報環境を把握する
  • -情報源の多様性を意識する
  • -感情的反応に気づく
  • -発信前に立ち止まる
  • -異なる意見に耳を傾ける
  • -プライバシー設定を確認する
  • -デジタルウェルビーイングを意識する
事業者の7原則
  • -アルゴリズムの透明性確保
  • -多様な情報への接触機会提供
  • -ユーザーへの選択肢の付与
  • -偽・誤情報への対応
  • -プライバシーの尊重
  • -研究者との協力
  • -定期的な影響評価の実施
政府の6原則
  • -情報リテラシー教育の推進
  • -研究支援と知見の蓄積
  • -国際的な連携・協調
  • -透明性確保のための環境整備
  • -表現の自由との両立
  • -マルチステークホルダーによる対話促進